「人を雇うこと」につきまとうリスクを再考してみましょう
〜顧問先様向けレポートより〜

「人を雇う」ことについて、これまで以上にリスクが高まっているといえます。以前は「ケガと弁当は自分持ち」という言葉がありましたが、現代において、この言葉は過去のものとなっています。

労働基準法において「客観的に合理的な理由のない解雇は、解雇権の濫用として無効になる」とあり、経営者は自由に解雇できるわけではない、ということです。さらには労働者が精神的に追い詰められた状態にあり、これにより過労死や自殺という事態に至ったとき、を経営者が見過ごしていたということになれば、「経営者は安全配慮義務を怠った」として労働者や遺族から多額の損害賠償を請求されることも決して珍しいことではなくなってきました。特に過労死等の労災認定については、以前よりも基準が緩やかになってきていることから、「労働者が勝手に残業していた」という言い分が必ずしも通らなくなってきています。しかも、「労働者が悪いことをして会社に損害を与えた」場合であっても、その損害を現実に労働者から得ることは大変難しくなってきています。給与との相殺禁止(労働者の同意がある場合を除く)や裁判で争っても労働者の負担割合はおよそ25%と言われており、経営者としてはこれまで以上に、人を雇うことについて神経を尖らせなくてはならない、そういう時代になっていると言えます。